【獣医師監修】猫の去勢・避妊後は体調管理が大切!おすすめのフードと選ぶポイントとは?

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猫の去勢・避妊後はフードの変更を考えよう!

最近は「望まない繁殖・前立腺肥大・乳腺がん」などの病気の予防のために、多くの飼い主さんが愛猫に去勢・避妊手術を受けさせることが増えてきています。

その際に手術後も今までと同じフードや量を与え続けていると、大切な愛猫が体調不良を引き起こしてしまう可能性があります。

今回の記事では猫の去勢・避妊後のフード変更について解説していきたいと思います。

獣医師

愛猫のためにきちんと
体調管理をしてあげてね

猫の去勢・避妊後の変化

猫の去勢・避妊手術は一般的にオスの場合は精巣を摘出し、メスの場合は卵巣と子宮を摘出するため、猫の体の中から性ホルモンの分泌に関わる臓器を取り除くという手術となります。

手術前と比べて体の中から臓器の数が減ることやホルモンバランスの変化が起こるため、猫の様子が変わると考えられています。

もちろん個体差があるため全ての猫に変化が必ず見られるとは言えませんが、飼い主さんが愛猫のためにどのような変化が起こる可能性があるのかを知っておくことは非常に大切です。

性格が変わる

オス猫においては去勢によってメス猫への興味が薄くなり、他のオス猫に対する闘争心も少なくなるため穏やかな性格になると考えられます。

また、猫によっては飼い主さんの悩みの種であった縄張りをアピールする「マーキング行為」の一種であるスプレー行為も無くなる可能性が高いといわれています。

メス猫の場合もやはりオス猫への興味が薄くなり、発情期のストレスがなくなるため全体的に落ち着くようになると考えられます。

発情期に独特の声で鳴くこともなくなります。

さらに、子猫を産んで育てるという行為が無くなった分、飼い主さんにより興味を示すようになり甘えん坊になるといった嬉しい変化も見られる可能性があります。

必要なカロリーが減る

去勢・避妊手術によって体内の臓器の数が減ります。

ホルモンバランスが変化するために基礎代謝も低下して、必要とするカロリーも手術前と比べて少なくなります。

食欲が増える

食欲を抑える働きがあるホルモンの1つに「エストロジェン」というホルモンが存在しますが、主に卵巣から分泌されます。

避妊手術ではこの卵巣を取り除いてしまうため、特にメス猫では食欲の増加が見られることがあります。

猫の去勢・避妊後の注意点

去勢・避妊手術によって主に「性格の変化・必要カロリー量の減少・食欲の増加」といった3つの変化が見られることがあります。

飼い主さんはこれらの変化において、どのようなことを注意すれば良いでしょうか?

肥満に注意

去勢・避妊手術によって必要なカロリー量が減少するため、手術前と同じ量のフードを与えているとカロリー過多となり肥満につながってしまいます。

肥満を防ぐためにはフードのパッケージに記載されている「規定量」を守ることや、カロリー計算ツールなどを用いて算出された必要カロリーに応じた量のフードを与えることが大切となってきます。

また、メス猫では食欲の増加が見られることがあるため、求められるまま与えるのではなく「適正な量」を数回に分けて与えるなどの工夫をしてあげましょう。

健康状態の確認のために月に1回程度は猫の体重を測定したり、体全体を触って脂肪の付き方などをチェックすることをおすすめします。

特定の病気に注意

去勢手術では精巣を取り除くことにより、男性ホルモンである「テストステロン」などの分泌が減るため、性器が細くなる可能性があるといわれています。

もともと猫は犬と比べて水を飲む習慣があまりないため、尿石症になりやすいという特徴がありますが、去勢により性器が細くなったオス猫は尿結石などが尿道を閉塞させる「尿道閉塞」のリスクが高くなります。

尿道閉塞は排尿することができないため放置しておくと「腎不全」になってしまい、最悪の場合には命を失ってしまうケースもありえます。

尿石症を予防するためには、ドライフードだけではなくウェットフードも与えることによって水分摂取量を増やさせることや、定期的に尿検査の実施などが有効と考えられます。

猫の去勢・避妊後のフードを選ぶポイント

去勢・避妊手術後からはどのようなことに注意してフードを選べば良いでしょうか?

ここからは選ぶ際のポイントを2つご紹介していきます。

成猫なら「去勢・避妊後用」がおすすめ

去勢・避妊手術を行った時点で愛猫が既に成猫のステージにあり、特に療法食などの指示がなければ手術を終えてしばらく経過してから「去勢・避妊後用」とパッケージに記載されたフードに切り替えましょう。

去勢・避妊用後フードはカロリーなどが配慮されているため、術後の健康体重を維持するためには最適です。

また、メーカーによっては尿石症の予防にも適応している場合があるため、より安心に与えることができます。

今まで食べていたフードと同じシリーズがおすすめ

数ある「去勢・避妊後用フード」の中で迷ったとき、可能であれば今まで与えていた同じメーカーから「去勢・避妊後用」と記載されているものを選ぶのがおすすめです。

猫によっては新しいフードに対して非常に警戒心を抱くタイプの子がいるため、今までと異なる風味や食感のフードを与えると食べなくなる可能性があります。

今まで与えていた同じシリーズだと、多くの場合はカロリーや栄養バランス等は「去勢・避妊後用」に調整されていても、風味や食感は同じなため餌を切り替えても警戒せずに食べることができるでしょう。

猫の去勢・避妊後のおすすめのフード3選

最後に、去勢・避妊手術後から与えるおすすめのフードを3つご紹介していきます。

ぜひ、愛猫のフード選びの参考にしてくださいね。

サイエンス・ダイエット〈プロ〉 猫用 避妊・去勢後ケア機能 避妊・去勢後~

公式サイト:サイエンス・ダイエット〈プロ〉 猫用 避妊・去勢後ケア機能 避妊・去勢後~

原材料

米、コーングルテン、チキン、小麦グルテン、セルロース、トマト、ビートパルプ、亜麻仁、動物性油脂、チキンエキス、ココナッツ油、ニンジン、小麦、ミネラル類(カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、クロライド、銅、鉄、マンガン、セレン、亜鉛、イオウ、ヨウ素)、アミノ酸類(タウリン、メチオニン、リジン)、乳酸、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D3、E、ベータカロテン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、コリン)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物)、カルニチン

おすすめポイント

健康な代謝を維持し、避妊・去勢後の健康体重をサポートすることで肥満を防ぐことに役立ちます。

また、マグネシウムの量を調整することによって尿石症にも配慮されています。

さらに対象年齢が「生後6ヶ月〜」のため、去勢や避妊を終えた子猫にも与えることができます。

ステアライズド

公式サイト:ステアライズド – キャットフード | ロイヤルカナン

原材料

肉類(鶏、七面鳥)、コーン、超高消化性植物性タンパク(消化率90%以上)、植物性繊維、動物性油脂、加水分解タンパク(鶏、七面鳥)、米、小麦、ビートパルプ、コーングルテン、酵母および酵母エキス、魚油、フラクトオリゴ糖、大豆油、アミノ酸類(DL-メチオニン、タウリン、L-カル二チン)、ゼオライト、ミネラル類(Cl、K、Na、Ca、Zn、Mn、Fe、Cu、I、Se、塩化アンモニウム)、ビタミン類(A、コリン、D3、E、C、ナイアシン、B2、パントテン酸カルシウム、B1、B6、葉酸、ビオチン、B12)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリーエキス)

おすすめポイント

適切な量の食物繊維と脂肪によって避妊・去勢後の適正な体重の維持に役立ちます。

また、ミネラルバランスが調整されているため、泌尿器の健康をサポートしてくれるのも良いですね。

ただし対象年齢が「生後12カ月齢~」のため子猫に与えることは避けるようにしましょう。

ナチュラル チョイス™避妊・去勢猫用 アダルト 白身魚 [成猫用]

公式サイト:ナチュラル チョイス™ 避妊・去勢猫用 アダルト 白身魚 [成猫用]

原材料

身魚(すり身)、チキンミール、粗挽き米、エンドウタンパク、玄米、鶏脂*、ポテトタンパク、アルファルファミール、亜麻仁、ビートパルプ、大豆油*、オーツ麦繊維、タンパク加水分解物、オートミール、ユッカ抽出物、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D3、E、コリン、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸)、ミネラル類(カリウム、クロライド、セレン、ナトリウム、マンガン、ヨウ素、亜鉛、鉄、銅)、アミノ酸類(タウリン、メチオニン)、酸化防止剤(クエン酸、ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物)* ミックストコフェロールで保存

おすすめポイント

カロリーと脂質が控えめな設計により避妊・去勢後の肥満を防ぐことを目的としてるフードです。

また、適切な尿のpHに配慮してビタミンCを配合すると共にミネラルバランスを調整し、尿石を形成しにくくすることで尿路の健康維持にも配慮されています。

ただし対象年齢が成猫用(生後12カ月齢~)のため子猫に与えることは避けるようにしましょう。

まとめ

去勢・避妊後から与えるフードについては飼い主さんも非常に悩むところではあると思います。

もしどのフードをあげれば良いのかがわからないという場合は、手術をした病院で相談してみても良いかもしれませんね。

愛猫と長く健康に暮らしていくためにも、適切なものを生活や体質に合わせて選んであげるようにしましょう。


監修獣医師:松本千聖

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