子猫のトイレのしつけ方とは?
犬に比べて猫には「しつけ」というものはあまり必要とはせず、どちらかというと猫の習性に合わせた環境を飼い主さんが整えてあげるという行動が大切となってきます。
ただ、子猫のトイレに関しては「適切な環境を用意した上で、トイレの方法を教えてあげる」という形での「しつけ」は必要となってくるため、今回はそれらについて解説していきたいと思います。
子猫にトイレをしつける前に考えること
もともと猫は綺麗好きな動物のため、トイレに関してかなりのこだわりを持つ傾向が強い子が多いと考えられます。
そのため子猫にトイレのしつけを始める前には、その猫にとって適切なトイレを準備してあげる必要があります。
では、どのようなことに注意してトイレを準備していけば良いでしょうか?
トイレのタイプ
トイレのタイプには大きく分けて「ノーマルトイレ」と「システムトイレ」の2種類が存在します。
ノーマルトイレ
ノーマルトイレは平たいバケツのような構造をしており、おしっこを吸収して固まるタイプの猫砂を中に入れて使用します。
普段のお掃除として、おしっこで固まった猫砂とウンチを取り除く必要があります。
メリットとして挙げられるのは、ノーマルトイレで使用する猫砂の多くがトイレで流すことができるため処理が簡単なことです。
対してデメリットは、おしっこの量がわかりにくい、採尿しにくいなどがそれぞれ挙げられます。
システムトイレ
システムトイレは「上の段がスノコ、下の段がトレー」という2層構造をしており、スノコ部分には固まらないタイプの猫砂を入れてトレー部分にはペットシートを敷いて使用します。
おしっこはスノコを通して下段のペットシートに吸収されるため、普段のお掃除としては汚れたペットシートとウンチを取り除く必要があります。
メリットとしては、おしっこの量などがわかりやすいこと、採尿が簡単なことが挙げられ、デメリットとしてはペットシートとシステムトイレ専用の猫砂といった2つのグッズの購入が必要なこと、猫砂をトイレで流すことができないことなどがそれぞれ挙げられます。
子猫がどちらのタイプを好むかは使ってみなければわからないため、まずは飼い主さんが使いたい方のトイレを置いてみて、そこでしてくれるか観察してみましょう。
もし不安ならば両方のトイレを用意してみることもおすすめです。
トイレの形
トイレの形にも大きく分けて、トイレを覆うカバーがない「オープンタイプ」とカバーがある「カバートイレ」の2種類が存在します。
本来、猫は排泄している最中を見られることを好まない傾向が強いので、カバータイプの方が良い場合もありますが、子猫の場合は逆に警戒してしまいトイレに入ってくれないこともあります。
そのため、まずはオープンタイプのトイレを使用したり、カバータイプを使用するにしてもカバーを開けたままにして始めることをおすすめします。
トイレの大きさ
猫のトイレの適切なサイズは体長(首から尾の付け根まで)の1.5倍以上といわれていますが、子猫の場合はよほど大型な猫種ではない限り「子猫用」と記載された市販のトイレを使用することで問題ありません。
成長してからも継続して使えるように始めから「成猫用」のトイレを購入したいと思う飼い主さんもいるかもしれませんが、「成猫用」だとトイレの入口が子猫には高すぎるなど不便な場合が多いと考えられます。
愛猫が快適にトイレを使えるためにも、ぜひ猫の成長に合わせてトイレを買い替えてあげてくださいね。
猫砂の素材
猫砂の素材には主に「鉱物(ベントナイト)、木(ヒノキなど)、紙、おから、シリカゲル」の5種類が存在します。
それぞれメリットデメリットがありますがノーマルトイレでは固まるタイプ、システムトイレでは固まらないタイプの猫砂を使用する必要があるため、まずはトイレのタイプを決めてから猫砂の素材を選ぶ必要があります。
ただ子猫のみとは限りませんが、猫の中には「異嗜(いし)」といって猫砂やプラスチックなどの食べ物ではないものを食べてしまう行動を取ってしまうケースがあります。
特に子猫の場合では好奇心が強すぎるため、遊びながら食べてしまうことも多いといわれています。
異嗜の原因はいろいろと考えられるためまずは動物病院への受診をおすすめしますが、行動が治まるまでの間は「食べても安心」と記載された素材の猫砂を使用するほうが良いでしょう。
トイレを置く場所
猫は静かな場所で落ち着いて排泄することを好む傾向にあります。
ですので、トイレは可能な限り人通りが少ない場所に置くようにしましょう。
また、洗濯機やテレビの側など大きい音がする場所も避けたほうが賢明です。
なお、片付けが便利などの理由でご飯の横にトイレを設置したいと思う飼い主さんもいるかもしれませんが、猫のストレスや衛生面から考えても可能な限り食事をする場所とは離してあげる必要があります。
トイレの数
猫は綺麗好きな動物のため、汚れたままのトイレで再び排泄を行うことは嫌がる傾向にあります。
いつでも清潔なトイレを使うことができるようにトイレの数は猫の数+1個を守るようにしましょう。
また、住宅が2階建て3階建てのように複数階あって猫が自由に移動する場合は、可能ならばそれぞれの階には最低でも1つのトイレを設置することをおすすめします。
子猫のトイレのしつけを開始する時期
基本的に子猫が生後3週間頃になるまでは親猫がいたら親猫が、いなければ飼い主さん自身が子猫の排泄を促してあげる必要があります。
子猫の排泄の促し方については猫の飼育本を読むことや動物病院で教えてもらうことなどができるため、子猫を迎える前には勉強しておきましょう。
生後3週間頃になると子猫は促されなくても自力で排泄ができるようになるため、トイレのしつけを始める時期としてはベストと考えられます。
子猫のトイレのしつけ方
子猫のトイレをしつける方法として、まずは子猫が見せる排泄のサインに気づいてあげることがポイントとなります。
排泄のサインとしては「ウロウロして落ち着きがない」や「クンクンと周囲のニオイをかぐ」などの様子があるため、これらのサインを子猫が見せたら優しく抱っこしてトイレに連れて行ってあげましょう。
なお、あらかじめトイレには子猫の排泄物のニオイがついたティッシュなどを入れておくことをおすすめします。
トイレに連れて行ってもキョトンとした状態ならば、飼い主さんが子猫の前足を使って猫砂をホリホリする仕草をしてあげても良いでしょう。
子猫の排泄のサインは主に寝起きや食後などによく見られる傾向があるため、これらのタイミングを逃さずにトイレに連れて行くことを繰り返していけば、だいたい1週間ほどでトイレを覚えてくれます。
ただ、仮にトイレ以外の場所でも排泄してしまっても決して怒ってはいけません。
というのも、怒ってしまうと子猫は「排泄をしたこと」に対して怒られたと受け取ってしまうため、排泄行為に恐怖心を感じて我慢してしまう危険性があるからです。
排泄行為の我慢は膀胱炎などの泌尿器系の病気のリスクが高くなるため、怒るのではなくニオイが残ってそこをトイレと子猫が勘違いしないように素早く掃除をしてあげましょう。
なお、子猫がトイレに排泄をした時は排泄が終わって落ち着いたタイミングで優しく褒めてあげることも大切なしつけの方法の1つとなります。
子猫がトイレを失敗した時に考えられること
一度トイレを覚えた後の子猫が基本的に失敗をすることは少ないため、もし失敗してしまったら何かしらの理由があると考えたほうが良いでしょう。
では、どのような理由が考えられるでしょうか?
トイレの掃除が不十分
子猫がトイレに失敗した場合は、まずトイレが清潔な状態であるかを確認したほうが良いでしょう。
私たち人間が考えている以上に猫は綺麗好きなため、少しでも排泄物が残っていると嫌がってトイレを使用してくれないことがあります。
また、ニオイが残っていても嫌がる傾向にあるため少なくとも月に1回は丸ごとトイレを洗うことに加えて、可能ならば2週間に1回程度の頻度で猫砂を全て取り替えてあげることをおすすめします。
トイレの変更が気に入らない
神経質な子猫の場合は猫砂の種類を変えただけでもトイレに不満を感じてしまい使用しなくなることも考えられるため、特別な理由がない限りはトイレに変更を加えることはおすすめできません。
どうしても変更しなくては行けない場合も急に変えてしまうのではなく、例えば猫砂ならば変更前の猫砂と変更後の猫砂を混ぜてみて徐々に新しい猫砂の割合を増やしていくようにしましょう。
病気の可能性も
トイレも清潔で猫砂の種類や置き場所なども変えていないのに、失敗が続いている場合は膀胱炎や尿石症などの可能性があります。
可能な限り早く採尿した尿を持って動物病院を受診したほうが安心です。
まとめ
子猫のトイレのしつけは難しいものではなく、むしろしつけが終わった後も飼い主さんが継続して猫に適切なトイレ環境を維持することが大切となってきます。
ぜひ、愛猫のためにもこまめに掃除などしてあげてキレイなトイレを保ってあげてくださいね。
監修獣医師:松本千聖