メス猫の避妊手術をする前に知っておきたいこと
皆さんの愛猫は「避妊手術」を行っていますか?
元気な体にメスを入れることが不安で「避妊手術に抵抗感」がある飼い主さんもいるかもしれません。
しかし、将来的に出産させる予定があったり、持病などで全身麻酔のリスクが高いなど特別な事情を除いて避妊手術は行うことをおすすめします。
なぜかと言うと、避妊手術を行うことによって予定しない出産の防止や、将来的に発生する病気のリスクを減らすことができるからです。
今回の記事では避妊手術について飼い主が「知っておきたいポイント」についてご説明していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
避妊手術は心配・・
なのでこの記事をよく読もう!
メス猫の発情時期とは?
一般的にメス猫は「季節繁殖動物」といわれており、太陽による日照時間が長い季節に発情します。
そのため日照時間が長い2月〜4月頃の春と、6月〜8月(9月)の夏に発情期があると考えられています。
しかしこれはあくまで外飼いの場合です。
室内飼いが主流になった現在の家猫は、太陽による日照時間以外に「家の照明」などによる「人工的な光」の影響で繁殖の季節が明確ではなく、春と秋以外に発情を迎えるケースもあります。
だいたい生後7〜12ヶ月頃かつ体重が2.5㎏以上になった時点で初めての発情を迎えるケースが多いですが、早いと生後6ヶ月ごろでも発情することもあります。
また、長毛種より短毛種の方が早く発情を迎えるともいわれています。
うちの子猫は短毛種だから
早めに気にしておきたいね!
メス猫の発情期にはどのようなことが起きる?
メス猫の発情期には以下のような特徴的な行動パターンが見られます。
これらの行動パターンは発情期の1日目にはそれほど出てきませんが、2日目以降にはっきりとしてくることが多いです。
また、外陰部の腫れや充血ははっきりと分かりませんが、少量のやや白っぽい水溶分泌液が陰門部に見られることもあります。
ロードシス
自分の胸やお腹を床につけてかがみこみ、後ろ足を立ててお尻を高く上げる姿勢をとって後ろ足で足踏みします。
コーリング
普段とは明らかに違う奇声に似た声での鳴き声が見られ、長い場合は夜間にずっと鳴き続ける子もいます。
ローリング
ゴロゴロと回転しながら自分の体を床に擦りつけます。
フラッギング
尻尾を左右どちらかによけて交尾を促す姿勢を取ります。
愛猫が明らかにいつもと違う動きを
始めると発情の可能性が高まります!
避妊手術とはどんな手術?
避妊手術には「卵巣摘出術」と「子宮卵巣全摘出術」の2通りがあり、猫の年齢や動物病院での方針などによってどちらを行うかは異なってくるため、気になる場合は事前に獣医師に確認しましょう。
開腹手術では、おへその下あたりを2~3cm程度、縦に切開してそこから左右の卵巣、子宮を摘出します。
なお、最近ではより傷が小さくて済む「腹腔鏡手術」で避妊手術を行う病院も増えてきており、その場合はお腹の中に3~5㎜程度の器具を入れるための穴を2、3か所開けて左右の卵巣と子宮を摘出します。
避妊手術の流れ
基本的な避妊手術の流れは以下の通りになります。
前日の夜から絶食することになります。
間違えて飲食してしまった場合は獣医師に報告しましょう。
手術前に猫から血液を採取し検査します。
この時点で異常があれば当日の手術は難しいと判断されます。
獣医師と今後の対応について相談しましょう。
手術は当日中に完了します。
動物病院の方針によって異なりますが、日帰りまたは1泊入院のどちらかになります。
鎮痛剤や感染予防のための抗生剤を処方されて自宅での管理となります。
投薬日数や投薬方法などをしっかりと確認しましょう。
手術から7〜14日後には傷口の抜糸や状態確認のために受診をします。
獣医師の判断で抜糸が行われ、問題がなければ避妊手術はここで終了になります。
自宅での経過観察中に傷口を舐めないよう「エリザベスカラー」や傷口を保護する「術後服」を装着する場合もあります。
神経質な猫だとエリザベスカラーや術後服のストレスなどによって、ご飯を食べなくなってしまうケースも考えられるため、猫の性格によっては手術の前から短時間ずつ装着させてみて慣らしてあげることをおすすめします。
避妊手術後に気をつけること
避妊手術を行った当日は麻酔の影響もあるので猫の体に様々な影響が出る可能性があります。
元気がなかったり、気管チューブの影響で咳が出る、寒がるなどの症状が起きる可能性があるので、日帰り手術の場合はお落ち着ける場所で静かに休ませてあげましょう。
- いつもの元気がない
- 咳が出る
- 極端に寒がる
- 食欲がない
また、帰宅後は急にご飯をあげたりせず獣医師から指示された時間と量を守る必要があります。
避妊手術後は通常1~2日経てば体力も回復し、食欲も戻るケースがほとんどですがなかなか術前の状態に戻らない猫もいます。
よっぽど気になる症状が見られた場合はすぐに動物病院へ相談しましょう。
避妊手術後は元気がないのが普通です
無理に遊ばせたりするのは控えましょう
避妊手術にかかる費用
避妊手術にかかる費用は動物病院によって変わります。
多くの場合は「術前検査・手術費用・エリザベスカラーまたは術後服・術後の入院費・お薬代」などをセットにした料金設定で、おおよそ20,000円~35,000円程度が相場となります。
避妊手術に適した時期とは?
避妊手術を早めに行うことによって病気を予防することができますが、手術を行う月齢によって予防効果に差が出てくることが知られています。
6ヶ月齢前で91%、7〜12ヶ月齢で86%、13〜24ヶ月齢で11%ほど「乳腺がん」の発生率が低下するとの報告があります。
避妊手術を実施する年齢 | 乳線がんの発生抑制率 |
---|---|
6ヶ月齢未満 | 91% |
7〜12ヶ月 | 86% |
13〜24ヶ月 | 11% |
24ヶ月以降 | 効果なし |
ただし全身麻酔下による開腹手術のため、ある程度身体が成長している必要もあり、生後6ヶ月〜8ヶ月頃が適した時期といわれています。
2回目か3回目のワクチン接種の時などに獣医師と相談しておきましょう。
また、発情期には子宮の血流が増えます。
出血多量のリスクがあることに加えて発情後期は免疫力が低下しているため、特別な理由がない限りは発情期を避けて避妊手術を行いましょう。
避妊手術のメリット
猫は室内でお世話をして基本的に外へは出さないというのが近年のルールになりつつありますが、ちょっとした隙に外に出ていってオス猫に出会ってしまうという可能性も0ではありません。
また同居猫がオスという場合もあるでしょう。
そのような時に避妊手術を実施していると望まない妊娠を防ぐことができるというのは大きなメリットとして挙げることができます。
発情期には特徴的な行動パターンが見られるだけではなく「興奮状態が続く・食欲が落ちる」などの変化や、発情しているけれど「交尾ができないことによるストレス」が原因で体調不良となってしまう可能性もあります。
- 興奮状態が続く
- 食欲が落ちる
- 交尾ができないストレスでの体調不良
避妊手術はメス猫にとって、発情による体調の変化やストレスを避けるというメリットもあります。
そして避妊手術による最大のメリットは「病気の予防」ができるというところでしょう。
猫に発生する悪性腫瘍で一番多いのが「乳腺がん」との報告があり、できるしこりの8割が悪性という非常に厄介な病気です。
乳腺がんは転移しやすく、発見が遅くなると死亡率も非常に高いのでこの病気を予防できるのが避妊手術を行う最大のメリットと言えます。
避妊手術のデメリット
避妊手術は複雑なものではなく手術時間も約30分ほどの短時間ですが、全身麻酔下での開腹手術を行うので万が一のことがないとは言えません。
非常に稀ですが麻酔薬に対して特異体質的な過敏反応を起こす猫もいるため、避妊手術によって死亡する確率はゼロということができない点がデメリットといえます。
まとめ
動物病院に相談しても「特別な事情がない限り避妊手術はした方がよい」と言われることがほとんどでしょう。
愛猫が病気にかかるリスクなどを考えると、デメリットよりもメリットのほうが遥かに大きい処置です。
ただ飼い主さんにとっては全身麻酔下での手術ということもあり、なかなか踏み切れない場合もあるかと思います。
そのような場合は飼い主さん自身が安心できるまで動物病院のスタッフに心配点などを相談し、愛猫の将来をきちんと考えた上で避妊手術をするかしないか決めてあげてくださいね!
監修獣医師:松本千聖