オス猫がするべき「去勢」
オス猫を飼い始めたら、考えなければいけないのが去勢のこと。
一般的には生後6ヶ月ごろからと言われていますが、最適な去勢時期はいつ頃なのでしょうか。
また、オス猫にとっての一大イベントでもある去勢。
オス猫のほうがメス猫よりも去勢後の変化が大きいと言われています。
この記事では子猫の最適な去勢時期と、オス猫が去勢後に見せる性格の変化について解説します。
- 最適な子猫の去勢時期は?
- 去勢後に見せる性格の変化とは?
オス猫の去勢の最適な時期は?
オス猫の最適な去勢時期は、生後6ヵ月の初めて発情を迎える前が理想です。
オス猫は7ヶ月ころから性的に成熟し、初めての発情期を迎えます。
発情をしてしまうと、あちこちにおしっこをしてしまう「マーキング」などの問題行動や「攻撃的になる」といった性格の変化が起こります。
しかし、発情をする前の6ヵ月から12ヵ月頃までの間に去勢をすることで、発情期特有の行動を防ぐことができます。
そのため、発情期を迎える前の、生後6か月ころに去勢手術をしてしまうのが理想的といえるでしょう。
- スプレー行為(マーキング)をし始める
- 本能的に攻撃的になる
去勢をしないとどうなるの?
去勢手術を行わない場合、精巣から分泌される男性ホルモンによって様々なリスクが生じます。
病気のリスク
まずひとつ目は病気のリスクです。
去勢をおこなわないと精巣から男性ホルモンが分泌され続けます。
男性ホルモンが分泌され続けると、その影響により起こる病気(前立腺肥大や精巣ガンなど)の予防ができなくなります。
また、外に出るタイプの猫の場合は、縄張り意識からケンカが起こりやすくなります。
他の猫との接触が増えることで、猫エイズなどの感染症にかかってしまうリスクも高くなってしまうのです。
問題行動が起きるリスク
そしてもうひとつのデメリットは、発情期特有の問題行動を起こしやすくなってしまうという点です。
発情期には、主に下記のような行動が見られます。
- 交尾ができないためストレスを感じやすくなる
- 自分の存在をアピールするためにスプレー行為をする
- メス猫にアピールするために大きな声で鳴く
- 縄張り意識が強くなり攻撃的になる
- メスを探すために家出しようとする
発情しているのに交尾ができないということは、猫にとってかなり大きなストレスがかかります。
このことによって周りに攻撃的になったり、ストレスが原因で寿命が短くなってしまう可能性もあります。
これは猫にとっても飼い主さんにとっても、決して望ましいことではないはずです。
そして問題行動は飼い主さんにとってもデメリットしかありません。
特に困るのがスプレー行為。
自分の存在をアピールするために部屋中のあちこちでおしっこをするようになってしまうのですが「ニオイも独特で取れにくい」ために処理が大変です。
去勢をしなかった飼い主さんが度重なるスプレー行為によって疲弊し、飼育に疲れて猫を捨ててしまったという話も聞いたことがあります。
それくらいスプレー行為は飼い主さんを困らせるものです。
また、大声で鳴くこともあるので近所迷惑になってしまう可能性も秘めています。
しかし、このような問題行動は早めに去勢手術を行うことでほとんどの猫は予防することができます。
スプレー行為をされると
本当に掃除が大変・・!
去勢時期が遅すぎると…
すでに上記のような問題行動が起きてしまっている場合、去勢手術を行ってもそれらが治らない場合があります。
ほとんどの場合は去勢手術で改善するようですが、オスとしての行動が染みついて離れないことがあるようです。
また「7歳以上のシニア猫の場合は全身麻酔が負担」になってしまう可能性があります。
去勢をすると猫ちゃんの運動量が低下して肥満になりやすくなります。
シニア猫の場合は肥満になると心臓や関節の負担になり、生活する上でのリスクも高くなるのでできるだけ若い時期に去勢をしてあげましょう。
去勢の決断は早めに
して欲しいにゃー。
去勢時期が早すぎると…
生後6ヵ月以前に去勢手術をしてはいけないかというと、必ずしもそうではありません。
将来尿路疾患になりやすいという説もありますが、因果関係がないことが分かっています。
精神的な負担を減らせるという理由から、生後2,3ヵ月頃から去勢手術を実施している施設もあるようです。
しかし、オス猫のなかには、精巣が降りてこずにお腹の中に残ってしまう「潜在精巣」というリスクのある猫がいるようです。
大がかりな手術になるため、6ヵ月以前に受ける予定だった場合は延期して様子を見る必要があります。
また、去勢手術は全身麻酔でおこなうため「小さな体では負担が大きい」という見解もあるようです。
そのため、体がしっかりと作られてくる生後6ヶ月以降に去勢するほうが、体への負担が少なくすみます。
早めに去勢手術をしてしまいたいという方は、一度かかりつけの獣医さんに相談してみた方がいいでしょう。
去勢をしないことで起きるデメリットは多数ありますが、去勢をすることで受けられるメリットは猫にとっても大変おおきなものがあります。
病気の予防はもちろん、ストレスの要因を一つ取り除くことができるのです。
去勢の時期が遅すぎると猫にとってのストレスに、逆に早すぎても体への負担が大きくなります。
猫が元気に暮らしていくためには、体がしっかりと出来上がる生後6ヵ月ころに去勢手術を行うのが最適だといえるでしょう。
そして去勢手術後には「性格が変わった!」という声をよく聞きます。
去勢後のオス猫はいったいどのような性格の変化を見せるのでしょうか?
去勢後は性格が変わってしまうの?
性格が変わると知って「今までの性格が好きなのに!変わらないで!」と心配される方もいらっしゃいますよね。
実際に「変わる」とはいっても「今までの性格と何もかもが変わってしまう」という訳ではありません。
正確には、去勢することで、もともとあった攻撃性や闘争心がなくなっていくため変わったように感じるのです。
なぜ性格が変わったように感じるの?
オス猫は去勢後から「成長ホルモンが分泌されなく」なります。
猫の性格形成にはこのホルモンが強く影響します。
そのため、去勢手術を行ったあとは子猫時代の性格をそのまま引き継ぐ傾向が多いようです。
また、男性ホルモンの分泌も止まるため、攻撃的な性格が和らいでいきます。
そのため穏やかな性格になりやすいようです。
私の愛猫は去勢したら
性格が落ち着いて来たよ!
どんな性格に変わるの?
穏やかな性格になるといっても、実際にはどんな性格になっていくのでしょうか。
去勢後のオス猫には、次のような性格の変化が挙げられます。
- ケンカが減る
- 甘えん坊になる
- 何も変わらない場合もある
ここでは去勢後に起こりやすい性格の変化について解説していきます。
ケンカが減る
去勢前のオス猫は特に縄張り意識が強いため、自分の縄張りに入ってきた猫とすぐにケンカになってしまいます。
しかし去勢後はその縄張り意識が低くなる傾向があるようです。
メス猫をめぐって争う必要もなくなるので、そもそもの攻撃性や闘争心が消えていくのかもしれませんね。
ただし、同居猫と性格が合わない場合はケンカをするときがあります。
去勢によってケンカが完全になくなるというわけではありません。
甘えん坊になる
甘えん坊になる理由として、オス猫の関心対象の変化があります。
オス猫は去勢前だと、生殖本能ゆえに常に心のどこかでメス猫を探しています。
ですが去勢後はメス猫への関心が薄れていくため「関心の対象が飼い主さんになる」ことがあるそうです。
そのために、オス猫は飼い主さんに甘えたがるようになります。
これは、飼い主のことを「ご飯をくれたり、なでたりしてくれる居心地のいい存在」と思ってくれた証拠かもしれません。
オス猫はもともと、メス猫にアピールをするために根っからの甘え上手なのです。
メス猫に向けられていた関心を自分に向けて甘えてくれるだなんて、飼い主冥利につきますね。
去勢したら以前より
甘えてくるようになった気がする!
何も変わらない場合もある
発情期を一度も経験しなかったオス猫の場合、去勢をしても何も変わらないというケースがほとんどです。
大人の体に発育し、発情期を迎えると男性ホルモンの影響によって攻撃性や活発さが増してきます。
発情前であればホルモンの影響もあまり受けておらず、攻撃性などが現れる前なので去勢前と何も変わらないようです。
オス猫は去勢をすることで、本能ゆえの行動やストレスに悩まされることがなくなります。
去勢後の性格の変化は、このストレスから解き放たれるために起こるようです。
猫がのびのびと穏やかに過ごす姿は、見ていてとても癒されますよね。
去勢後に猫が甘えてきたら、たくさん甘やかしてあげましょう。